うつ病と診断され、通勤が難しくなった人の中には、かつての僕のように退職を余儀なくされる場合もあります。 これは公務員であろうと、民間企業であろうと関係ありません。
「体が資本だから無理してまで働いて欲しくない。」などと言われ、職場から退職をそれとなく促されることもあります。 また、有給休暇がなくなったり、傷病手当が出なくなったりして、実質上の解雇になる場合もあるでしょう。
僕はそれら全てを経験したことがありますが、とにかく日本という国においては、休むとか、手当をもらうということに対して冷たいです。 「根性がない」とか「甘えてる」とか正面切って言われたこともあります。
職場を離れると、待ち受けているのはズバリお金の問題です。 ここでは、そのお金にまつわる生活の話を交えながら、僕が実際にうつと共存するために、利用してきたものについてご紹介します。
受給者証について
- 受給者証とは
- 受給者証を持つことによるメリットと注意点
- 申請方法
正式名称は、自立支援医療受給者証(精神通院)と言います。
受給者証(精神通院)は、自立支援法における自立支援医療(精神通院医療)に基づいて発行されるものです。 精神通院医療とは、厚生労働省によれば、統合失調症、精神作用物質による急性中毒、その他の精神疾患(てんかんを含む)を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する病状にある者に対し、その通院医療に係る自立支援医療費の支給を行うものです。 実施主体は都道府県・指定都市です。
精神通院医療の範囲は、精神障害及び当該精神障害に起因して生じた病態に対して病院又は診療所に入院しないで行われる医療(通院医療)です。 症状が殆ど消失している患者であっても、軽快状態を維持し、再発を予防するためになお通院治療を続ける必要がある場合も対象となります。
対象となる疾患は11に分かれており、気分障害や不安障害は高額治療継続者(いわゆる「重度かつ継続」)の対象疾患です。
受給者証を持つことによるメリットは、簡単に言えば、病院や調剤薬局での自己負担額が3割から1割に軽減されることです。つまり、例えば、これまで医療費を月に15,000円負担していたとすれば、それが5,000円で済むということです。
医療の軽減が受けられる医療の範囲は、精神疾患・精神障害や、精神障害のために生じた病態に対して、病院又は診療所に入院しないで行われる医療(外来、外来での投薬、デイケア、訪問看護等が含まれます)が対象となります。
ただし、例外があります。 入院医療、カウンセリングによる治療は適用されません。 もっとも、カウンセリングも適用可能にする方法があります。 医師の指導者のもとにカウンセリングが行われているものとすれば、保険適用内となり、精神通院医療の適用内となります。 僕が過去に通院していた精神科では、カウンセリングの費用は1時間で500円程度(1割負担)でした。 医療のもとで行われているのが前提ですので、当然大学の心理教育相談室やカウンセリングルームでは不可能です。
医療費には自己負担額の上限があります。 収入により上限額が変わります。 上限額とは、例えば上限額が5,000円の場合、月額の医療費が5,000円になった時点で、その月にはそれ以上の医療費は課されない、ということです。
世帯所得状況 | 1か月あたりの負担額 |
---|---|
生活保護受給世帯 |
0円 |
市町村民税非課税世帯であって受給者の収入が80万円以下の場合 |
2,500円 |
市町村民税非課税世帯であって受給者の収入が80万円より上の場合 |
5,000円 |
市町村民税課税世帯で、33,000円未満 |
5,000円 |
市町村民税33,000以上235,000円未満 |
10,000円 |
市町村民税235,000円以上 |
20,000円 |
注意点が一つだけあります。 それは、受給者証を申請する場合には、医療機関と調剤薬局を指定しなければなりません。 病院や薬局で受け付けをする時には、必ず提出しなければなりません。 提出しない、あるいは指定医療機関、および調剤薬局以外で医療や調剤を受けた場合には、適用外になります。 持参するのを忘れた場合は、その旨報告すれば、受付で処理してもらえると思います。
実施主体は都道府県で、県からの承認を経て発行されることになりますが、窓口は市町村の担当する課になります。 窓口の名称は市によって異なりますが、障害福祉課や保健福祉課などです。
申請書類は、①申請書(自立支援医療(精神通院)支給認定申請書)、②主治医の診断書、③課税証明書・非課税証明書・生活保護受給証明書、④健康保険証の写しです。 ①と②の用紙は市町村にありますが、病院によっては用意してあったり、市町村に送付してくれるところもあります。 用紙は少なくとも県内であれば統一されているので、市外から医療機関に通院している場合でも、問題はありません。
申請から手元に届くまでおおよそ2ヶ月かかります(市町村により異なりますが、郵送されることが多い)。 申請すると、申請書の控えをもらえます。 控えを医療機関や調剤薬局の受付に提示すると、その場では1割負担になりませんが、後日受給者証を提示した時に、差額の返金があります。
有効期限は1年間です。 ただし、診断書は2年に1度で構いません。 発行月の約3ヶ月前になると、おそらく医療機関から「そろそろ更新の時期ですよ。」と言われると思います。 速やかに更新の手続きをしてください。 提出書類は診断書がいるかいらないかだけで変わりありません。
千葉県の例です。 認定日・受給者番号・氏名・性別・生年月日・住所・被保険者記号と番号・保険者名・指定医療機関・自己負担上限額・重度かつ継続・有効期間が書かれています。 |